CTIとは?機能やメリット・利用シーンを分かりやすく解説
最終更新日:2024年7月8日
顧客や取引先、サービス導入を検討中のお客様など様々な電話が日々会社へ着信します。
電話対応の効率化や顧客満足度の向上はコールセンターだけでなく、電話業務を行う多くの企業でも必要です。そこで本記事では電話業務を効率化と顧客満足度の向上へと繋がるCTIシステムについてわかりやすく解説していきます。
- コンテンツの目次
CTIとは?
Computer Telephony Integration(コンピューター テレフォニー インテグレーション)の頭文字をとったもので、コンピューターと電話を統合した技術またはその技術を使ったシステムのことをCTIシステムと呼びます。
CTIシステムを利用すれば電話と顧客管理ソフトや営業支援ツールなどと連携して、着信時に情報を表示したり顧客管理ソフトや営業支援ツールなどから直接発信したりすることができます。
コールセンターやオフィスで様々なサービスやシステムが利用されており、CTIシステムと混合されやすいサービスやシステムがいくつかあります。
例えば、電話の発着信や保留・転送などの制御を行うPBX(Private Branch eXchange)やコールセンター業務を効率化する機能(IVR・通話録音・ACD・モニタリングなど)を揃えたコールセンターシステム、顧客の情報を管理するCRMが挙げられます。
この様々なサービスやシステムを電話と連携する技術やシステムをCTIシステムです。
PBX・コールセンターシステムとCTIシステムの違い
現在、コールセンターシステムの多くはCTI機能を利用する事が出来たり、PBXの機能としてCTIやコールセンターシステムで提供されるような機能を装備しているサービスが登場しています。その為、PBX・コールセンターシステムとCTIシステムは混合されやすくなっています。
しかし、厳密にはPBX・コールセンターシステム・CTIシステムは異なる概念のシステムなので下記でそれぞれをご紹介します。
電話と様々なサービスの連携をするCTI(Computer Telephony Integration)
CTIは、電話と様々な仕組みを連携するシステムです。
例えば、電話とコールセンターシステムやCRM・SFAなど本来別々に独立しているサービスを連携することで、着信時に自動で発信者の情報を表示などが可能になります。
電話の発着信や保留・転送などの制御を行うPBX(Private Branch eXchange)
PBXは、電話機能の制御を行うシステムです。一般的にビジネスフォンと呼ばれる法人電話システムもPBXを使用しています。
例えば、どの端末が内線○○番や代表番号に着信したら内線○○番を鳴らす・通話を保留する・転送するなど電話の基礎的な部分を制御するシステムです。
コールセンターの業務を効率化する「コールセンターシステム」
コールセンターシステムは、コールセンターの業務を効率化するシステムです。
着信を適切やオペレーターへ配分するACD機能や音声アナウンスを流して発信者に入電内容を選択してもらい着信先を振り分けるIVR機能、オペレーターの稼働状況の可視化(モニタリング)や応答できなかった電話の数などのデータ化などコールセンターの業務を効率化する様々な機能が利用できます。
PBX・コールセンターシステムとCTIシステムが混合される理由
現在、技術の進歩によって境界線が曖昧になっています。
例えば、IP-PBXやクラウドPBXと呼ばれる高機能なPBXが登場し、CTI機能を装備しています。また、コールセンターで利用されるような音声案内による着信先の振り分け(IVR)や通話録音などもサービスによっては利用することができます。
CTIシステムはコールセンターでよく利用されるのでコールセンターシステムの一部として提供されているサービスも多いです。
その為、CTIシステムと検索してもコールセンターシステムが紹介されていたり、コールセンターシステムを検索してもCTIシステムが列挙されている場合もあります。
それぞれの違いを明確に把握するよりも自社でどんな仕組み・機能が必要なのか?検討サービスで利用できる範囲はどこまでか?などの方が重要となります。
↓コールセンターシステムについて更に詳しく知りたい方はこちら↓
クラウド型/オンプレミス型の比較
CTIシステムを利用する為には、一般的にはビジネスフォンの電話機を制御するPBXとCTIシステムを接続する必要があります。
CTIは導入方法がオンプレミス型とクラウド型の2パターンあります。
オンプレミス型CTIオンプレミス型CTIは、自社にCTI用のサーバーを設置して利用するパターンです。
自社にサーバーを設置するので自由にカスタマイズが可能な点が特徴です。
また、自社の中で完結することができるので情報漏洩のリスクを軽減できます。
自社にCTI用のサーバを設置・構築する必要があるので導入コストが高く、利用開始までの期間も長くなる点はデメリットです。
【オンプレミス型CTI構成イメージ】
電話機を制御する主装置(PBX)とCTI用のサーバを直接接続もしくはCTI用のアダプタで接続します。CTIサーバと顧客管理を行っているデータベースサーバ・CRMシステムと接続して着信時にパソコン画面へ表示することが可能です。
クラウド型CTI
クラウド型CTIは、クラウド上に設置されたCTIサーバからサービスが提供されます。
CTIサーバを自社へ設置・導入する必要がないのでオンプレミス型CTIに比べて安価に導入が可能です。
また、機器導入や環境構築が不要なため導入までのスピードも速いのが特徴です。
インターネットを通じて利用するのでオンプレミス型CTIに比べてセキュリティリスクが高くなる点はデメリットです。また、クラウドで展開されるCTIサーバはユーザー間で共有して利用する為、自社に合わせたカスタマイズなどは制限がある場合があります。
その為、既存で利用しているデータベースやCRMと連携ができない場合がある点は注意が必要です。
【クラウド型CTI構成イメージ】
クラウド型CTIを提供する会社によって構成は若干異なりますが、クラウド上に展開されるCTIサーバと社内にある主装置(PBX)・ルーター・データベースやCRMと接続して利用します。クラウド型のCRMサービスと連携できる場合もあり、CRMが社内になくても利用できます。
クラウド型・オンプレミス型のメリット・デメリットを一度まとめてみましょう。
クラウド | オンプレミス | |
---|---|---|
コスト | 〇(安価) | ×(高額) |
導入までのスピード | 〇(速い) | ×(時間がかかる) |
カスタマイズ | ×(制限あり) | 〇(自由に可能) |
セキュリティ | ×(情報漏洩リスクあり) | 〇(情報漏洩リスクを軽減) |
安価に早く導入できるのはクラウド型CTIで、セキュリティ面やカスタマイズ性を優先ならオンプレミス型CTIの方が自由度や安全性が高い傾向にあります。
CTIの機能
CTIシステムとして提供されている主な機能をご紹介します。
CRM連携
顧客情報を管理するCRMとCTI連携することで、着信時に自動で発信番号からCRMの情報を検索してPC画面へ表示することができます。CTI連携をしていなければ通話をしてからCRMで検索をする必要があるので通話時間が長くなってしまいます。
また、CRMの情報を確認しながら対応することができるので過去の対応状況や朱蒙履歴などを簡単に把握することができます。当社のクラウド電話「モッテル」ではCTI機能を標準搭載し、kintoneや楽テル・Zoho CRM・MailDealer(メールディーラー)などのCRMと連携できます。
ポップアップ機能
CRMとCTI連携をすることで着信時に自動で発信番号からCRMの情報を検索してPC画面へポップアップ表示することができます。
通話を開始する前に情報の把握できるので通話をする従業員やオペレーターの負担を軽減することができます。
ソフトフォン
パソコン(Windows)上でビジネスフォンの様な電話機能が利用できます。
ソフトフォンでは置き型の固定電話が不要なので機器代金の削減が可能です。また、ヘッドセットを付けて通話ができるのでパソコンを操作しながら会話ができるなど電話業務を効率化できます。
通話録音連携
通話を録音する機能です
録音したデータをCRMへ保存して対応履歴と紐づけが可能です。また、録音したデータをAI音声認識により自動でテキスト化してCRMへ記録することも可能です。
クリックトゥコール
CRMなどに記載されている電話番号をクリックで発信する機能です
ソフトフォンとCRMなどがCTI連携することで電話番号を入力することなく簡単に発信することができます。かけ間違いも防止でき、電話業務の効率化が可能です。
オートコール
登録した音声を使って自動でで発信する機能です。
出欠勤の連絡など大量に架電が必要な場合に人が行うのではなくシステムが自動で架電してくれます。電話を受けた方は音声案内に従って該当する番号を押すだけ。簡単に大量の架電業務が終了します。
オートコールの詳細ページ
IVR(自動音声応答)
着信時に問合せ内容などを伺う音声アナウンスを流し、発信者が選択した問合せ内容の番号毎に直接該当部署へ繋ぎ、電話業務の効率化を図る機能です。
具体的には「お電話ありがとうございます。音声案内に従ってご希望の番号を押してください。新規のご契約をご希望の方は1を。ご契約中のユーザー様は2を。書品の発注については3を押してください。」の様なアナウンスを流して発信者にダイヤルにて番号を選択いただきます。
IVR(自動音声応答)の詳細ページ
ACD(着信分配)
オペレータ毎に着信を平等化したり優先度順に着信させるなど着信をコントロールする機能です。
スキルごとに優先度を設定し優先順に着信させたり、着信回数・待機時間・最終応答順など着信を平等化することも可能です。
ACD(着信分配)の詳細ページ
稼働状況のモニタリング
コールセンター全体・チーム・オペレーター毎の統計情報や状態(受付可・通話中・後処理中など)の経過時間などをリアルタイムで簡単に把握することができる機能です。
稼働状況のモニタリングの詳細ページ
CTIの導入メリット
次にCTIを導入した場合のメリットを見ていきましょう。
顧客情報表示の効率化
CTIシステムを利用すると着信時に自動でデータベースやCRMから発信者の情報を検索して表示することができます。
CTIを利用以前は通話開始後に手動で検索をかけていました。CTI導入後の手順の変化は以下のようになります。
- 【CTI導入前の顧客情報表示手順】
- 1. 通話開始
- 2. 検索に必要な情報を質問(お名前や会員番号等)
- 3. データベースやCRMから手動で検索
- 4. 情報がパソコン画面へ表示
- 【CTI導入後の顧客情報表示手順】
- 1. 着信と同時に顧客情報がパソコン画面へ表示
このように電話応対に必要な作業を削減してくれます。
架電業務の効率化
データベースやCRMと連携するCTIシステムではCRMの画面から直接発信などが可能になります。
テレアポなどの電話営業やアウトバウンドのコールセンターなどでは1日に多くの発信を行います。発信の度に電話番号を入力していると時間がかかる他、間違った番号へ発信してしまう可能性もあります。
CTIによって顧客の画面にある電話番号をクリックなどで直接発信できるので間違いを防止し、架電業務の効率が可能です。
CTIの利用シーン
CTIを実際のシーンに合わせて導入効果を見ていきましょう。
履歴を簡単に追える
サービスについてのお問い合わせのお電話があった場合、発信者は聞きたい要件のみ伝えることも多くCRMなどを検索することができません。
その為、以前の対応者が何を説明し何を説明しなかったのか不明なまま対応することになるので、1から説明する必要があります。
CTIを利用した場合、着信時に自動で顧客情報があれば表示されるので以前の対応履歴を確認しながら電話対応ができます。
その為、説明も必要な箇所だけにシンプルに伝えることができます。
常連を簡単に把握
飲食店や美容院など予約の電話では、予約したい日時を確認して予約可能と分かった段階で氏名や連絡先などの個人情報を教えてもらいます。
店長や古くから働く方であれば声だけでも常連さんに気が付くかもしれませんが、働く多くの方はわかりません。
CTIを利用すれば、働き始めたばかりの人でも顧客情報を確認することで常連さんを把握することができます。
常連さんを素早く把握することで顧客に応じた対応もすることができ、顧客満足度の向上に繋がります。
課題解決の迅速化
サポートやヘルプデスクの様にご利用いただいているサービスの故障・障害対応を電話で対応する場合もあるでしょう。
CTIで過去の対応履歴を確認することでどの様な対応(設定変更など)を今まで行ってきたのかわかります。
今までの対応履歴を確認することで現場環境の把握を素早く行い、問題箇所の特定を行えるようになります。
CTIに向いている企業
CTIは利用する様々なメリットがありますが、そのメリットを享受できるのは電話業務がある程度ある企業です。
例えば、お客様や取引先との連絡手段にメールやチャットを主に使用している場合はCTIを導入しても最大限にメリットを享受できません。
また、従業員へ配布している社用携帯でやり取りを行っている場合も電話業務自体が多くてもCTIのメリットを享受できません。
CTIの導入に向く企業は代表番号などへの着信が多い企業やコールセンターです。
電話業務自体が少なくても常連とのやり取りの多い、飲食店・サロンや注文履歴など過去のやり取りを確認しながら対応する必要があるECサイト運営企業などもCTIに向く企業と言えます。
下記では、CTIシステムが活用されている具体的な企業をご紹介します。
コールセンターを展開する大企業
大規模な企業がコールセンターを運営する場合、CTIシステムの導入は極めて有益です。
顧客からの問い合わせやクレーム対応など、数多くの電話業務が発生します。
CTIシステムは着信情報と顧客データを結びつけ、迅速で適切な対応を可能にします。
これにより、効率的な業務処理と高品質な顧客体験の両立が実現し、企業の信頼性向上に繋がるでしょう。
オンラインビジネスを展開する企業
ECサイトを運営する企業がCTIシステムを採用することで、顧客との接点を強化できます。
注文や配送に関する問い合わせ、商品に関する疑問など、電話での問い合わせは絶えません。
CTIシステムは顧客情報を瞬時に表示し、迅速な対応をサポートします。これにより、顧客の満足度を向上させ、ブランドの信頼性を築くことができるでしょう。
成長戦略を進める新興企業
成長を目指す新興企業がCTIシステムを導入することで、効果的な顧客関係構築が可能です。
顧客からの問い合わせやサポート依頼に迅速に対応できるため、顧客満足度を向上させ、リピート購買や口コミ拡散を促進します。
また、CTIシステムは顧客の購買履歴や嗜好を把握し、個別の提案を行うための貴重な情報源となります。
予約業務を行うホテルや交通機関
ホテルや公共交通機関などの予約業務を行う企業がCTIシステムを活用することで、スムーズな顧客対応を実現できます。
予約受付時に顧客情報を自動的に表示し、個別の対応を行うことができるため、効率的な業務運用が可能です。
VIPゲストやリピーターへの特別なサービス提供にも活用でき、顧客満足度の向上と共にブランド価値の向上を図ることができるでしょう。
PBX一体型のCTIシステム
CTIを利用する場合、CTIシステムと電話機を制御する主装置(PBX)を接続する必要があるとご紹介しましたが、PBXとCTIシステムが一体型のシステムもあります。
コールセンターシステムと呼ばれるサービスの多くはこの一体型となっています。
PBX一体型のCTIシステムもクラウド型とオンプレミス型の2パターンで提供されています。
PBX一体型のCTIシステムではオンプレミス型ではIP-PBX、クラウド型ではクラウドPBXやクラウドコールセンターシステムなどで提供されています。
従来の主装置(PBX)が電話回線を利用したサービスに対して、IP-PBX・クラウドPBX共にインターネット回線を利用したIP電話サービスとなります。
PBX一体型のCTIシステムではビジネスフォン+CTIシステムでは実現が難しいかった機能も多く提供されています。
PBX一体型のクラウドCTIシステム「モッテル」
PBX一体型のクラウドCTIシステム「モッテル」は、クラウドで提供されるクラウドPBXタイプのCTIシステムです。
クラウドPBXのモッテルでは、固定電話だけでなく「ソフトフォン」と呼ばれるパソコン電話機能を利用することができます。
ソフトフォンはお使いのWindowsPCへ専用のソフトをインストールし、ヘッドセットを接続して利用します。
着信時には専用ソフト画面がポップアップ表示され、通話を開始するとCTIによって顧客情報が表示されます。
他にも通話録音機能・クラウド電話帳(会社用電話帳を社員で共有)などが利用できます。
コールセンター向けCTIシステム「MOT/CallCenter」
オンプレミスで本格的なコールセンターで利用するCTIシステムを検討したい場合は、コールセンター向けCTIシステム「MOT/CallCenter」を当社で提供しています。
コールセンター向けCTIシステム「MOT/CallCenter」は、クラウドCTIシステム「モッテル」では利用できない稼働状況のモニタリング機能や任意の期間・集計単位(日・月・時間・曜日)・オペレーター・集計項目などを選択し様々な情報を表示できるレポート機能など本格的なコールセンターを運営したい企業向けのシステムです。
オンプレミスなので初期投資はクラウド型と比較して高くなりますが、2年後には総支払額が安くになります。また他社のコールセンター向けCTIシステムと比較しても2年後以降は総支払額が最安になるシステムです。
まとめ
最後にCTIについてまとめてみていきましょう。
- 【CTIの導入方法】
- オンプレミス:CTIサーバを事務所へ設置
- クラウド:クラウドで提供されるCTIサーバ利用
導入方法は上記の2パターンでした。それぞれのメリット・デメリットは下記の通りです
クラウド | オンプレミス | |
---|---|---|
コスト | 〇(安価) | ×(高額) |
導入までのスピード | 〇(速い) | ×(時間がかかる) |
カスタマイズ | ×(制限あり) | 〇(自由に可能) |
セキュリティ | ×(情報漏洩リスクあり) | 〇(情報漏洩リスクを軽減) |
CTIシステムの種類は下記の2パターンでした。
- 【CTIシステムの種類】
- ・CTIシステム単体
- ・PBXとCTIシステムが一体型のパッケージ
CTIシステムは、着信を受けるインバウンド・発信業務のアウトバウンド両方の電話業務を効率化することができますので、この機会に検討してみてはいかがでしょうか?
CTIが利用できるクラウドPBX「モッテル」の詳細はこちら
カテゴリ: クラウドPBXの基礎知識 関連キーワード: CTI, アウトバウンド, インバウンド, ポップアップ
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