「つながらない権利」とは
つながらない権利とは、退社後や休日などに仕事上のメールや電話などへの対応を拒否できる権利のことを指します。2016年にフランスで法律が規定されたことを機にメディアでも多く取り上げられました。
昨今の働き方改革・テレワークの推進により働く場所の制約が少なくなり仕事と育児や介護との両立が出来るようになった分、いつでも業務メールや電話が繋がってしまう環境です。
この便利さとプライベートを守る調整としてつながらない権利が求められています。
「つながらない権利」が求められるIT・テクノロジー関連業界
システム障害やサーバーのトラブルが突然発生することがあるため、24時間体制での対応が必要です。特にグローバルな企業では時差もあるため、海外のクライアントからの連絡が業務時間外に来ることが多くなります。業界特有の働き方や職場環境が大きく影響しています。
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常時接続の
働き方IT業界では、リモートワークやフレックスタイム制が普及しており、いつでもどこでも仕事ができる環境が整っています。その結果、仕事の時間や場所が曖昧になり、オフの時間にも連絡に対応するような「常時接続」の状態になりがちです。
特にメールやチャット、業務メッセージが時間を問わず送られてくるなど、従業員はオフの時間でも「応答しなければ」というプレッシャーを感じることが増えています。 -
グローバルチームでの
時差勤務IT業界の多くの企業はグローバル展開しており、世界各国にチームが分散しています。そのため、時差がある環境下でのプロジェクト進行が一般的です。これにより、夜間や早朝に連絡が来ることが避けられず、業務時間が不規則になりやすいです。従業員が時差に応じて柔軟に働くことを求められる一方で、休息やプライベートな時間が犠牲になる傾向があります。
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成果主義による
プレッシャー仕事に常に接続されている状態では、リフレッシュする機会が少なくなり、心身に大きな負担がかかります。
結果として、睡眠障害やうつ病などのメンタルヘルスの問題を引き起こすことがあります。
こうした状況は、会社全体の生産性にも影響を及ぼす可能性があります。 -
精神的負担の増加と
バーンアウトのリスクIT業界は高度な技術やスキルを要することが多く、常に学び続けなければならないというプレッシャーがかかります。また、突発的なトラブルが発生することも多く、時間外でも対応を求められることがあります。
これにより、慢性的な精神的ストレスやバーンアウトのリスクが増加し、効率や生産性にも悪影響が出るため、従業員のメンタルヘルスを守ることが重要視されています。 -
ITツールの
利便性と弊害テクノロジー業界では、多くの業務がツールやシステム上で行われ、デジタル上で簡単に連絡を取り合えるというメリットがある一方で、これが逆に「いつでもどこでもつながることが可能」というデメリットを生んでいます。たとえば、Slackやメールの通知を常にオンにしていると、勤務外でも自然と業務に意識が向き、休息が中断されやすくなります。
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ワークライフバランスの
見直しの強化労働環境の見直しが進む中で、IT業界でも従業員のワークライフバランスを大切にしようという動きが広まっています。長時間労働や無理な業務負担がかかりやすいIT企業は、従業員のパフォーマンスを維持するためにも、オフの時間を尊重することが重要と考えるようになっています。こうした背景から、勤務時間外に業務から切り離される「つながらない権利」が必要とされるようになりました。
IT業界では、リモートワークやフレキシブルな働き方が一般的になっており、業務とプライベートの境界が曖昧になりがちです。そのため、「つながらない権利」を強調し、業務時間外の連絡を制限する動きが出ています。
「つながらない権利」をどう確保するか
日本でも、2018年の働き方改革関連法により、労働の物理的な負荷を解消するための施策が本格的に導入がすすんでいるものの、日本には長期休暇の文化がなく欧米と比べて休むことへの考え方の違いが大きいため、なかなか権利が浸透しにくい現実です。
従業員のワークライフバランスを保つために注目されて始めている「つながらない権利」ですが、それらを確保するためのIT・テクノロジー関連業界での具体的な例としては以下のようなケースがあります。
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勤務時間外の
業務用チャットの停止日本や海外の企業の一部では、SlackやMicrosoft Teamsなどの社内チャットツールにおいて、定時以降の通知をオフにするルールを設けるようになっています。これにより、従業員は私生活を尊重され、勤務外のリクエストや質問に応答するプレッシャーから解放されます。
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深夜・週末の
メール禁止ポリシー特に大手企業やグローバル企業では、特定の時間帯(例えば午後8時~翌朝7時や週末)には上司が部下に対して業務連絡メールを送らないルールを設けています。このようなポリシーにより、従業員が夜間や休日に仕事のことを考えず、プライベートな時間を確保できます。
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「つながらない日」の
導入月に一度や週に一度、「つながらない日」を設ける企業もあります。この日は、勤務時間内であってもオンライン会議や連絡を減らし、社員が集中して作業に取り組めるようにする取り組みです。特に開発部門などでは、集中力が必要な作業に専念できる環境を整える意図があります。
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リモートワーク中の
勤務時間管理リモートワークの普及に伴い、勤務時間の境界が曖昧になりがちですが、業務終了時間に強制的にシステムからログアウトする機能を導入する企業もあります。これにより、従業員が勤務外でもダラダラと仕事を続けることを防ぎます。
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バケーションモードの
強化有給休暇取得時に、休暇中の連絡を一切しないことを会社が推奨する事例も増えています。社員が完全にリフレッシュできるように、代わりの担当者をアサインする、もしくはチーム内で対応を共有することで、休暇中に業務連絡が発生しない体制を整えます。
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モバイルデバイスの
管理ポリシー仕事用のスマートフォンやPCの電源を勤務終了時にオフにすることを推奨する、またはシステム的に強制する企業もあります。これにより、従業員が私用の時間に仕事用のデバイスに触れることがなくなり、仕事の境界が明確になります。
法律で定められているわけではなく、定義は明確ではありません。
権利の確保には「企業ポリシーの明確化とルールの整備」と「テクノロジーの活用」が求められます。
「つながらない権利」を確保するシステム
「つながらない権利」に関する問題には、勤務時間外の電話、メール、チャット、の3つが代表的です。その中でも、最も精神的負担となる勤務時間外の電話についての権利の確保が求められます。日々の終業や決まった休みに加え、シフトにより個別のスケジュールであったり有給休暇などにも対応する必要があります。
クラウド電話サービスのMOT/TELでは、場所を問わずオフィスの電話をスマートフォンで受発信できるサービスです。普段の業務時間内の電話業を効率化出来るだけでなく「つながらない権利」に対応するための機能もいくつか提供しています。
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1. 営業時間外の自動応答
MOT/TELでは、あらかじめ営業時間や休日を設定し、それに基づいて自動応答メッセージを流すことができます。
たとえば、勤務時間外にかかってきた電話に対して、自動で「現在の時間は営業時間外です」といったメッセージを送ることができるため、従業員が時間外に対応する必要がなくなります。 -
2. 電話のスケジュール管理
電話の受信をスケジュールで管理できる機能があり、勤務時間外や休憩時間には電話が鳴らないように設定できます。
これにより、従業員はプライベートな時間に仕事の連絡から解放され、つながらない権利を守ることができます。 -
3.着信の転送先制御
MOT/TELでは、着信時に転送先を制御できる機能があります。
時間外の着信を自動的にボイスメールに転送したり、特定の人にのみ連絡が届くように設定できます。
これにより、重要な連絡だけが緊急時に処理され、その他の業務外の連絡は翌営業日まで待つことが可能です。 -
4.有給など個別の休暇にも対応
MOT/TELのアプリでは、ユーザーが自分で業務時間の外にアプリを「オフ」に設定できる機能があります。これにより、時間外にはスマートフォンで業務の着信や通知が入らないようにすることができます。
従業員は個人のプライベートな時間を確保することができ、ストレスを軽減できます。
周りに影響せず個別にできるので、有給休暇などに対応できます。 -
5. ボイスメール機能
時間外や不在時に、すべての着信をボイスメールに自動的に切り替えることができます。これにより、従業員は仕事の連絡があっても後で確認することができ、即座に対応しなくてもよい環境を整えることができます。
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6.個人の番号を使う必要がない
スマートフォンで会社の電話番号での受発信ができます。個人番号を外部に知らせる事がないので休日に個別の着信が来ることがなくなります。
また、事務所番号で顧客対応ができるので、折り返しや問合せ時に事務所へ着信するので、有給休暇などの個別の休日の場合でも、自分だけでなく社内、同部署や同グループ内での他のスタッフが、対応可能です。