Q: コールセンター立ち上げにクラウドPBXが最適な理由とコストを解説
お客様の声を直接聞けるコールセンターは、商品開発や顧客満足度の向上・カスタマーサクセスに繋がる非常に大切なコミュニケーション方法の1つです。
提供サービスや会社名の認知度が上がってきたタイミングやユーザー数が増加してくるとお問い合わせの電話も増え始め、現状の設備で社内対応することが難しくなってきます。そこで本記事ではコールセンターの立ち上げ手順や立ち上げにかかる費用などを解説していきます。
- コンテンツの目次
1.コールセンター立ち上げ準備時の手順・プロセス
まず、コールセンターの立ち上げにはいくつかの手順・プロセスが必要です。立ち上げには一般的に下記のプロセスで進めていきます。
- 【コールセンターの立ち上げ手順】
- 1. 目的・ゴール設定(KGI)
- 2. 現状調査と課題の可視化
- 3. プロセスを設計する
- 4. 実際にコールセンターの構築
では、このプロセスに沿って解説していきます。
1.目的・ゴール設定(KGI)
最初のプロセスとして、コールセンターの立ち上げにはまずコールセンターを設置する目的・ゴール(KGI)の設定が必要です。目的やゴールが明確ではないとコールセンターを立ち上げる為に必要なシステムや人材の規模などが定まりません。また、コールセンターを運営していく中で目的・ゴールがなければ、単に電話を受けるだけになってしまいます。
コールセンターは単に電話を受けるだけでなく冒頭でもご紹介したように商品開発や顧客満足度の向上・カスタマーサクセスに繋がります。
例えば、「より良い商品を開発する」という目的・ゴールを設定すれば、お客様からのお電話を受けるだけでなく発信してアンケートが取れる体制を構築する必要があったり、「顧客満足度の向上」の目的・ゴールであればオペレーターが対応するまでの待ち時間を短くする必要があるなど必要なシステムなどが想像できます。
その他にコールセンターの目的・ゴール設定(KGI)となる例は下記のとおりです。
- 【コールセンターの目的・ゴール設定(KGI)となる例】
- 1. 顧客満足度を前年比○○%アップ
- 2. 商品のリピート率を前年比○%アップ
- 3. アップセル/クロスセル率を前年比○%アップ
- 4. 業務効率化により運営コストを前年比○%カット
2.現状調査と課題の可視化
目的・ゴール設定(KGI)の次は現状調査と課題の可視化が必要です。
現在コールセンターを運営していなくても顧客からのお電話を対応する部署などがあるはずです。その部署の現状を調査・把握することが必要です。把握したデータを基に目的・ゴール設定(KGI)を達成するために必要な課題を可視化します。
例えば、顧客満足度の向上を目的・ゴール設定(KGI)にしたケースで、現在の体制だと
- 【課題の可視化例】
- 1. 話し中でよく繋がらないとお客様から言われる
- 2. 聞かれたことに対して答えが分からず保留時間が長い
- 3. 電話対応が苦手な従業員がいる
- 4. 以前話した内容が共有できていない
などが挙げられます。
この様に課題が可視化されれば、どう対処するのか・何がシステムとして必要なのかが絞られていくので、次の設計がスムーズに進んでいきます。
目的・ゴール設定(KGI)が違えば当然課題も変化します。課題が変化すれば課題を解決する方法も異なってくるので1つ1つしっかり検討する必要があります。
3.プロセスを設計する
コールセンター全体のプロセスを設計する際は、「業務プロセスの設計」「マネージメント設計」「組織体制の設計」「人材育成の体制設計」の4つが一般的に必要とされます。
■ 業務プロセスの設計
業務プロセスの設計では、目的・ゴール設定(KGI)達成のために必要な機能やシステム・業務プロセスを明確化していきます。
目標の優先順位の決定やKGIを達成するためのマネジメント方法の決定・その報告方法・業務フローなどが当てはまります。また、新型コロナウイルスの様なパンデミックや地震・台風・大雪・大雨といった自然災害などによる出勤ができない緊急時の対応方法などを検討しておく必要もあります。
■ マネージメント設計
最終目的であるKGIを達成する為に、そのゴールへ正確に向かっているか?進捗度合いなどを測るKPIを設定します。
KPI(Key Performance Indicator)とは「重要業績評価指標」です。目標を達成するプロセスでの達成度合いを計測したり監視したりするために置く定量的な指標を意味します。
参考:カオナビ
コールセンターのKPIは非常に多いとよく言われますが、
- 【コールセンターのKPI例】
- 1. 応答率(対応した件数 ÷ 着信件数)
- 2. 放棄(呼)率(対応できなかった件数 ÷ 着信件数)
- 3. 平均応答速度(待ち時間 ÷ 着信件数)
- 4. 平均通話時間(全通話時間を足した数字 ÷ 総電話数)
- 5. 平均後処理時間(後処理にかかった時間の合計 ÷ 対応件数)
- 6. 平均処理時間(平均通話時間 + 平均後処理時間)
- 7. 平均コール単価(コールセンターの運営にかかるコスト ÷ 対応件数)
- 8. サービスレベル(自社で設定した時間内に対応できた件数 ÷ 着信件数)
- 9. 稼働率(欠勤日数 ÷ 予定していた勤務日数)
などが挙げられます。
コールセンター運営が正しくできているのか判断する為の上記の様なKPIの数値を設定し、マネージメントする必要があります。
■ 組織体制の設計
業務プロセスやマネージメント設計で設定した項目を達成する為に必要な人数や体制を決めていきます。
具体的には電話対応を行うオペレーターの人数や管理者(スーパーバイザー)の設定・管理範囲を決めていきます。
小規模コールセンターであればサポート担当者をコールセンターへ配属するなど現在のリソースで運営していく場合もあります。大規模なコールセンターを立ち上げる場合にはアルバイトや派遣社員などを雇うことも多くなり、コストがかかります。予算感も合わせて検討が必要です。
■ 人材育成の体制設計
組織体制の設計が終わったら、設計した体制に必要な人材を育成する必要があります。
コールセンターはクレーム対応なども多く、離職率が高くなりがちなので継続的に人材育成が必要になります。その為、人材育成のマニュアル化やサポート体制の構築は必要です。
また、離職と同様に欠勤率も高くなる傾向があり、急な欠勤時の人員補充対策も同時に検討する必要があります。
コールセンター業務はコールセンターでしかできないのではなく在宅でも業務ができる環境を構築しておくと、欠勤が出た場合に勤務OKの返事をもらった代替人員は出勤や着替え・女性であれば化粧なども不要なので数分で業務開始ができることもあります。
4.コールセンターの構築
プロセスの設計によってコールセンターを立ち上げに必要な骨組みは完成しました。あとは実際にコールセンターを立ち上げて運営していくためのシステムやシステムを使った業務フローのマニュアル作成などが必要です。
システムの選択
コールセンターで必須の電話システムや顧客情報を管理するCRMを選択する必要があります。
電話システム
電話システムは身近なもので言えばビジネスフォンです。小規模コールセンターや社内ヘルプデスクであればビジネスフォンでも対応は可能です。しかし、コールセンターの業務を効率化する通話録音機能や問合せ内容ごとに着信を振り分けるIVR機能・顧客情報を着信と同時に表示するCRM連携(CTI)機能などが利用できない、もしくは別途機器設置が必要で高価である場合が多いです。
従来では上記の様な機能を利用する場合、コールセンターシステムを導入するケースが多かったですが、昨今はより安価に手軽に導入・利用のできるクラウド電話をコールセンター用として導入するケースが増えています。
クラウド電話とは、従来事務所などに設置していたPBX(主装置)をクラウド上に設置することでスマホやパソコンと言った端末がインターネット経由でクラウド上のPBX(主装置)へ接続し、各機能を利用することができるサービスです。
このクラウド電話は近年品質や機能が格段に向上し一般企業だけでなく官公庁でも導入されています。
コールセンターの立ち上げや小規模コールセンターにクラウド電話が選ばれる理由はアカウントの増減や契約変更が容易だからです。コールセンターは取り扱うサービスなどによってお問い合わせが増える時期があります。コールセンターではピークに合わせて人員を増加したり削減することが多く、クラウド電話であれば管理画面からアカウント発行や契約プランの変更が自由に行えます。
クラウドサービスなので解約も1ヵ月単位で自由に行えるので立ち上げ時はクラウド電話で対応し、規模が大きくなったらコールセンターシステムへ乗り換えるというコールセンターもあります。
小規模コールセンターなどの立ち上げの際はクラウド電話を検討してみると良いでしょう。
CRM
顧客情報を管理するCRMもコールセンターには必要です。毎回同じオペレーターが同じ顧客の電話対応を行える訳ではないので情報を共有しておく必要があります。CRMを導入して購入していただいた商品や過去の問合せ内容・自社で対応した結果などを記録しておくと初見のオペレーターが対応しても内容の把握が容易になります。
注意点としては、電話システムと連携が可能か事前にチェックが必要な点です。小規模コールセンターでも大規模コールセンターでも1件当たりの電話対応時間は短い方が1日で対応できる件数が増加します。CRMが電話システムと連携していないと電話を受けてからCRMへ検索をかける必要があり時間がかかります。CRMが電話システムと連携していると着信と同時に該当するCRMの情報が表示されるので対応時間の短縮に繋がります。
業務フローやシステムのマニュアル作成
コールセンターで実際の電話対応を行うオペレーターや従業員の為にマニュアルを作成する必要があります。オペレーターや従業員のマニュアルでは、
- 【オペレーターや従業員向けのマニュアル】
- 1. 電話システム・CRMなどのシステムのマニュアル
- 2. 電話応対スクリプト
- 3. 緊急時の業務フローマニュアル
- 4. 提供している商材・サービスのマニュアル
などが必要です。
又、上記とは別に管理者(スーパーバイザー)向けの管理マニュアルも別途必要です。
オペレーターの採用・教育
ここまで準備ができたら管理者を含めた採用・教育を行います。
大規模コールセンターであれば設計した人数まで採用できるよう求人サイトなどへ掲載します。小規模コールセンターであれば自社の従業員だけでカバーできる場合もありますが、大規模・小規模コールセンター共に業務に必要な知識やシステムの使い方など教育する必要があります。
コールセンターの研修は、
- 【オペレーターの研修例】
- 1. サービス・商品知識の研修
- 2. コンプライアンス研修
- 3. 電話応対や応対品質の研修
- 4. 管理者用の研修
などが挙げられ、上記を座学研修やロールプレイング研修・OJT研修などで行っていきます。
6.コールセンターの立ち上げにかかる費用
次にコールセンターの立ち上げにかかる費用を見ていきましょう。
初期費用
コールセンターの立ち上げにかかる初期費用は導入システムや採用人数によって異なります。
電話システムやCRM・電話回線・ネット回線の初期費用や工事費用が30万円~250万円程かかります。大規模コールセンターなどで新たに場所を借りるのであれば敷金(保証金)・礼金・仲介手数料・前家賃などで月額賃料の10倍ほどが初期費用で掛かります。
求人サイトへ掲載すれば費用も掛かるので採用の為の費用がプラスされます。
初期費用を抑えるポイントは導入サービスをオンプレミス型ではなく、クラウドサービスを選択する点です。オンプレミス型は機器の設置・設定の工事が必ず必要になる為、初期費用が高額になりがちです。一方、クラウドサービスであれば設置工事が必要なく、機器代もあまりかからないので初期費用を抑えることができます。
クラウド電話の初期費用は29,800円~と安いので、小規模コールセンターなどはクラウド電話を利用することでコストを抑えられます。
月額費用
コールセンターは運営中の費用も一般オフィスより掛かります。コールセンターシステムを導入していれば1席5,000円~10,000円程が相場です。CRMは1名500円~1,000円程が相場です。
システム以外では賃料や光熱費・電話・ネット回線費用・人件費(時給1,200円~3,000円/1人)もかかります。特に大規模コールセンターでは賃料や人件費が高くなります。月額費用を抑えたい場合は敢えて、オンプレミス型のコールセンターを選ぶという選択もあります。
オンプレミス型のコールセンターシステムでは初期費用が高くなりますが、月額費用は保守料金のみなどクラウド型のサービスに比べて安くなる場合があります。また、クラウドサービスの様に利用する期間ずっと料金の支払いがかかるのではなく、機器代金を分割やリースでの導入であれば支払いが終えると月額での負担もぐっと下がる為、初期費用+月額費用の総支払額がクラウドタイプのサービスより安くなる場合もあるので、どちらが良いか検討する価値はあるでしょう。
また、システム自体の月額を抑えるのではなく、在宅勤務ができるコールセンターを構築することで賃料を抑えたり、地方の方が勤務できる環境を構築することで人件費を抑えるという方法もあります。在宅コールセンターは、クラウド電話やクラウドコールセンターシステムで構築ができるので検討してみてください。
重ねて、電話よりもSNSやメールを使うことが多くなった昨今の状況を考え、コールセンターを設立するよりも「電話代行サービス」を利用して費用を抑える選択肢も最近では注目されつつあります。
電話代行サービスなら
- 【電話代行サービスを使う際のメリット】
- 1. 自社コールセンターの立ち上げに伴う高額な初期・固定費用を電話代行により節約可能
- 2. 訓練された専門オペレーターによる一貫した高品質な顧客対応が可能
- 3. 電話代行により、社員は主要業務に集中し、生産性の向上が可能
- 4. 準備にかかる手間を省き、外部のプロに任せることで即座に業務を開始可能。
といったコールセンター自体の立ち上げをわざわざするよりも良い部分が大きいため、注目を集めているのです。詳しくは以下のブログから確認するとよいでしょう。
7.まとめ
コールセンターの立ち上げは高額な費用も絡むため、入念な準備・下調べが必要です。いきなり高額なコールセンターシステムの導入ではなく、クラウド電話などすぐに解約できるサービスでスモールスタートするのも1つの方法です。本記事では解説していませんが、コールセンター業務をアウトソーシングするという方法もありますのでコールセンターの立ち上げ構想段階で自社で行うのかアウトソーシングするのかも比較・検討してみると良いでしょう。
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