Q: 構内PHSの代替ツールは? 使い方は変えず、もっと便利に!
通信電波の影響が少なく、通信コストが安いことから工場や医療現場の内線端末として利用されているPHS。
しかしPHSは個人向け、法人向け共に2023年3月にサービスが終了してしまっており、使い続けるには不安があるかと思います。
本記事ではPHSの現状を解説し、PHSの代替ツールをご紹介します。
1.PHSとは?
まず、PHSとはなにかについておさらいしましょう。
PHSは日本で開発された通信端末の一種です。
開発当初はポケベルとの連携機能や通信コストの安さから女子高生を中心に広がり2年半で700万人近くの加入者数になりました。
この流行は一般の顧客にとどまらず、通信電波の影響が少なく、通信コストが安いことから工場や病院などの医療施設、一般オフィスでも内線端末として利用されるようになりました。
しかし、携帯電話との競争に負け次々にサービス事業者が撤退。
唯一の提供企業であったワイモバイルも個人向けは2021年1月31日、法人向けは2023年3月31日にサービスを終了してしまいました。
PHSはサービスを終了してしまいましたが、今もPHSを利用している現場は多くあります。
これらはどうして使えているのでしょうか。
■ 公衆PHSと構内PHS
実は、サービスを終了したのは公衆PHSと呼ばれる、ワイモバイルの契約を必要とするPHSだけです。
今も使うことができているPHSは施設内に専用のアンテナを設置することで利用する「構内PHS」と呼ばれるものです。
ワイモバイルと契約をしていない構内PHSは、サービスを終了した今も使用することが可能です。
しかし「サービスを終了していないなら、このままPHSを使い続けて大丈夫!」……というのは、少し危険です。
2.構内PHSは使い続けられる?
構内PHSを継続して利用する上での注意点が3つあります。
■ 旧スプリアス規格への規制
現行のPHSを利用し続けられるか考えるうえでまず確認しなければならないのが、利用しているPHSの規格です。
旧スプリアス規格に基づいて製造されたPHSは、遠くない未来に使えなくなってしまう可能性があります。
「スプリアス」とは無線設備から発射される電波のうち、必要周波数帯の外側に発射される電波(不要な電波)のことです。
不必要な電波(不要な電波)をできる限り低減させることによって、電波利用環境の維持、向上及び電波利用の推進を図るために改正が行われました。
旧スプリアス規格のPHSはビジネス向けのものでも2022年11月30日までしか利用できないと定められましたが、
コロナ禍により、総務省より移行期間を「当分の間」延長すると発表がなされました。
コロナ禍から早4年。利用可能期限は伸びたままですが、移行期限の延長はいつ終了してもおかしくない状況です。
利用可能期限が過ぎれば当然旧スプリアス規格のPHSは使えなくなってしまい、入れ替えが必要になってしまいます。
現在お使い中の構内PHSが旧スプリアス規格かどうか調べる方法については「PHSの規格を確かめる方法(旧スプリアス規格の調査)」の記事をご覧ください。
■ 音声品質の低下
今使っている端末が使い続けられるとわかった上で、次に懸念される点が音声品質の低下です。
提供者と契約を結んでいない構内PHSですが、実は公衆PHSの電波で同期信号をとることでクリアな音声での通話を実現していました。
公衆PHSがサービス終了したことで、構内PHSの音声品質にも影響が出ていると考えられます。
■ PHS端末や基地局の価格が高騰
もう一つが今後、PHS端末や基地局の価格が高騰すると考えられる点です。
公衆PHSサービスが終了した以上、市場は当然縮小傾向にあります。
その為、PHS端末と基地局(アクセスポイント)の製造数も縮小され、これらの価格が高騰する可能性が高くなっています。
今動いているPHS端末や基地局が機能しているうちは問題なく使えますが、今後継続して使い続けられるかというと、難しいでしょう。
万が一、基地局が故障し入れ替えが必要になっても、代替品が調達できなければ利用できない状態が長く続くことになります。
そういった事態を防ぐためにも、PHSの代替手段は早めに考えておいた方が安心です。
3.構内PHSの代替ツール
構内PHSの代替ツールには、以下のようなものがあります。
■ インカム
遊戯ホールやホテルなどの宿泊施設・冠婚葬祭などの広いホールで行うイベント・病院・介護施設・レジャー施設などで利用されているインカムも構内PHSの代替ツールの一つです。
インカム自体に明確な定義はありませんが、一般的にヘッドセットとマイクが一体となった無線機がインカムとして認知されています。
両手が空くので構内PHSに比べて作業を行いながら会話ができる点がメリットです。
インカムと構内PHSの機能はそれ程変わらずどちらも会話がメインですが、インカムはグループ(複数人)で同時に会話ができる点が異なります。
しかし、これ自体は業務効率に大きな変化はないでしょう。
■ トランシーバー
トランシーバーは大きな倉庫や建設現場などで利用されている無線通信機です。
構内PHSと比較すると機器を持って利用する点は同じです。構内PHSは双方自由に会話ができますがトランシーバーは多くの場合話し手(1人)に対して多数が受信する形式です。
一度に多くの人へ情報を伝達できる点はメリットでもありますが、一方的に話す(伝える)ことが基本なので
双方でコミュニケーションを取るという観点で言えば不便です。
近年はトランシーバー用の機器を必要とせず、スマートフォンのアプリとしてトランシーバーを利用するものも登場しています。
■ クラウドPBX
旧スプリアス規格の場合、今後確実にかかってくる規制を踏まえて、入れ替えが必要になります。
入替の際は、新規格のPHSであれば一応、継続して利用することが出来ます。
しかし、PHSをそのまま利用し続けて良いのでしょうか?
- 他の無線機器との電波干渉が起こる場合がある
- 多くの人と同時に通話することができない
- 一部機器ではサポートが終了している場合もあり、故障に対応できない場合もある
- 通信が暗号化されていない場合が多く、第三者による傍受のリスクが高い
- DX化/ICT化への対応が遅れ、企業自体の競争力が低下する
PHSは上記の通り、たとえ新スプリアス規格に対応する機器でも、安心して使用し続けるのは難しいのが現状です。
しかしインカムやトランシーバーだと、以下のようなデメリットや問題点が出てきます。
- 通信範囲が限られており、広範囲での使用には不向き
- 多くの人と同時に通話することが困難
- 環境ノイズの影響を受けやすく、PHSやIP電話に比べて音声品質が低下する
- PHSと同じく通信が暗号化されていない場合が多いため、第三者による傍受のリスクが高い
- 個々のデバイスの管理や、故障時の修理・交換がPHSシステムに比べて煩雑
そうした場合は、拡張性も高くスマホを内線端末として利用出来るクラウドPBXがおすすめです。
クラウドPBXは、従来オフィスに設置していた主装置(PBX)をクラウド上に設置し、インターネット経由で電話機能を利用するサービスのことです。
スマホから会社番号での発着信が可能なほか、オフィス以外の場所で電話業務を行ったり、遠隔拠点の社員同士で内線通話を行ったりすることが可能です。
スマホ内線ではインターネットを介して電話を使うため、専用アプリをインストールするだけでアプリ同士の通話が内線(無料)になります。
利用イメージは構内PHSとも近く、電話端末(スマホ)を使って双方の会話を行います。
クラウドPBXは内線だけでなく会社の代表番号を使った発着信(外線通話)も出来るので、事務所などで利用する電話(ビジネスフォン)と構内PHSのどちらの機能も兼ね備えており、とても便利です。
- PHS端末・PBXなど電話機器・サーバーの設置・維持が不要になる
- 社員の私用のスマホを利用でき、社用スマホを導入する必要がない
- 新たに従業員を雇用した場合も、スマートフォンアプリの設定だけで使用できる
- 敷地外含むどんな場所からでも社内通信が可能
- 複数拠点化時など企業の成長に合わせて容易に拡張が可能
- データの暗号化・定期的なセキュリティ更新・災害時のバックアップができるなど、高度なセキュリティ対策も可能
- 社内SNS・ボイスメール・着信転送などで従業員のコミュニケーション関係での生産性向上にも貢献
クラウドPBX「MOT/TEL」とは
クラウドPBX「MOT/TEL」は、ITトレンドのPBXカテゴリで「全体満足度で最高評価」を獲得しているクラウドPBXです。日本国内開発であることに加え、使いやすさ・音声品質・通話の安定性などが評価され、27,500社以上の累計導入実績を誇ります。
4.構内PHS・構内放送もスマホで代用!?LANdeVOICE(ランデボイス)
PHSを利用している現場では、しばしば構内放送も業務で活用されています。
実は、この構内放送も「MOT/TEL(モッテル)」で代用が可能です。
「MOT/TEL(モッテル)と株式会社エイツーの「LANdeVOICE(ランデボイス)」を連携させることで、
道路を挟んだ向かいの工場や事務所・遠方の本社などから、スマートフォンを使って構内放送やドアホンの対応ができるようになります。
■LANdeVOICE(ランデボイス)とは
LANdeVOICE(ランデボイス)は、音声の変換器です。
インターネットを介して受信した電話の音声は、通常だと構内放送で利用できません。
しかしランデボイスを配線の間に置くことで、スマホからかけた電話の音声を、構内放送などで利用できる音声に変換することが可能になります。
後述するクラウドPBXと合わせることで、スマホに話しかけるだけで館内放送ができたり、ドアホン・インターホンの来客応対時にスマホで対応できるようになります。
- 社員の私用のスマホから構内放送が可能に
- 構内放送だけでなくスマホアプリ(ビジネスチャットなど)で全従業員に迅速に共有可能
- 放送機器や専用のスピーカーといった高額な設備導入が不要
- 放送の音声記録が可能な他、履歴などの確認も可能
- 複数拠点化時など企業の成長や変化に合わせて容易に拡張が可能
- 職場内のみならず、スマホのビジネスチャットで連絡出来るため、外出先でも構内放送の内容を確認可能
6. まとめ
- かつては病院などの医療現場や一般オフィスの内線電話端末として多くPHSは利用されていた。
- 提供会社と契約が必要な公衆PHSはサービスを終了したが、専用のアンテナを設置して限られた範囲で使う構内PHSは今も利用可能。
- PHSには「旧・新スプリアス規格」があるが、旧スプリアス規格のPHSはは使えなくなるかわからない。
- 新規格のPHSも継続して利用するには心許ないため、構内放送などもスマホでカバーできる「クラウドPBX」への乗り換えがおすすめ。
PHSに代わるコミュニケーション手段としては、クラウドPBX「MOT/TEL」がおすすめです。
下記サイトでは、実際に工場や病院などでモッテルを導入した際のメリットや事例をご紹介していますので、ぜひご覧ください。
参考記事:
IT Media News「Y!mobileのPHSが“幕引き”へ 2023年3月末で「PHSテレメタリングプラン」を終了」
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