Q: 医療用PHS(ピッチ)の廃止の流れが強まる中、病院・介護施設がとるべき対応とは?
PHSサービスは病院・看護・介護などの現場では「医療用ピッチ」と呼ばれ、発売から25年も経つ今でも、あらゆる院内で使われつつある現状があります。
ただ、昨今「医療用PHS」には暗雲が立ち込めつつあります。総務省は昔の規格を使ったPHSをいつ廃止するかわからない状況にあるほか、ワイモバイルからは2023年3月に法人向けPHSが終了するとの通達も出ました。
病院ではPHSの電磁波が弱く人体や医療機器への影響が少ないとのことから普及し、8割を超える病院で利用されています。介護施設や製造業・一般企業などでも構内PHSは通信費が安いとのことで利用されています。
PHSサービス終了後に病院・介護施設はどのような対応を取るべきでしょうか?
本記事では、医療用PHS(ピッチ)を今後どのようにすべきなのかについて解説します。
1.医療用PHS(ピッチ)に広がる廃止の動き
PHSは、1995年の開発当初はポケベルとの連携機能や通信コストの安さから女子高生を中心に広がり2年半で700万人近くの加入者数を集めていました。そして流行は個人向けにとどまらず、電波の影響が少ないことや通信コストの安さ、シンプルに使えることなどから病院などの医療施設でも「医療用PHS・ピッチ」などと呼ばれ内線端末として広がって行きました。
ただ今や、医療用PHS(ピッチ)はワイモバイルなど通信キャリアの料金プラン終了や、総務省の新スプリアス規格以降などのあおりを受けて危機に瀕しています。
■ PHS向け料金プランがワイモバイルで終了
ワイモバイルから公衆PHSの料金プランが終了するとの発表がありました。
PHS向け料金プラン※は2021年1月31日を以って終了しました。
※ テレメタリングサービス向け料金プランは2023年3月末をもって終了いたします。
ワイモバイル:PHSのサービス終了のご案内
とHPには記載がありました。
しかし、終了するのはあくまでも公衆PHSサービスです。ワイモバイルの契約を必要としない構内PHSは継続して利用することができます。
■ 注意が必要な「スプリアス規格」
新型コロナウィルス感染症の拡大といった予見が困難な事態において無線局免許人等の利益を確保するとともに国民の社会経済活動に影響がないよう旧スプリアス規格の無線設備の使用期限を「当分の間」とする改正を行う
総務省:新スプリアス規格への移行期限の延長
<中略>
今般の改正は、社会経済情勢等に鑑み、新スプリアス規格への移行期限を延長するものであり、新スプリアス規格への移行は継続するものである。
構内PHSを継続して利用する上でもう一つの注意点が旧スプリアス規格です。
「スプリアス」とは無線設備から発射される電波のうち、必要周波数帯の外側に発射される電波(不要な電波)のことです。不必要な電波(不要な電波)をできる限り低減させることによって、電波利用環境の維持、向上及び電波利用の推進を図るために改正が行われました。
旧スプリアス規格のPHSはビジネス向けのものでも2022年11月30日までしか利用出来ないと定められましたが、コロナによる総務省の移行期限の延長があり「当分の間」と定められました。
利用可能期限は伸びましたが、移行期限の延長がいつ終了してもおかしくなく、コロナが収束した今、旧スプリアス規格のPHSは利用が禁止される可能性が高まっているので入れ替えが必要です。
現在お使い中の構内PHSが旧スプリアス規格かどうか調べる方法については「PHSの規格を確かめる方法(旧スプリアス規格の調査)」の記事をご覧ください。
2.そのまま構内PHSを利用していても良いのか?
医療・看護の現場において、PHSは20年以上前の機器ながらもいまだに多数の現場で使われ続けている現状があります。
医療用PHS(ピッチ)の利用状況について2021年5月に電波環境協議会が1254件の医療機関に対して行った調査によれば、約4割の医療機関がコロナ禍の中ながらも「導入している」と回答しています。
法人向けPHSのサービスは2023年3月末ですでに終了しており、総務省の新スプリアス規格の「当面の間」がいつ終了するかもわからない状況です。果たして、病院や介護施設内・製造工場・オフィス内でこのまま構内PHSを利用していて問題はないのでしょうか?
このまま医療用PHS・ピッチを使い続けてしまった場合、たとえ旧スプリアス規格でない新スプリアス規格対応の医療用ピッチ・PHSに替えたとしても、以下の様な問題が発生する恐れがあります。
- 医療用PHS(ピッチ)では、サポートが終了してしまい故障した場合などに替えたり修理することが困難になる
- 院内など小規模な範囲でしか使えないため、施設が大きくなった場合や外出先などでは無用の長物になる
- セキュリティへの対策方法がほとんどないため、情報流出などにつながる恐れがある。
このまま使い続けたとしても、サービスはすでに終了しているため、院外での医療用ピッチ・PHS同士の通話無料などの恩恵が受けられません。また、病院や介護施設内、オフィス内などの狭い範囲内でしか利用が出来なくなります。
また、利用出来る機能が電話のみの医療用PHS(ピッチ)は現在様々な会社から提供されているクラウドサービスなどにアクセスできなかったり、ナースステーション・事務所のビジネスフォンと連携が難しかったり、出来ることに様々な制限があります。したがって、病院や介護施設内・製造工場・オフィス内で利用する端末の再検討時期に来ているといえるでしょう。
3. 病院内の医療用PHS(ピッチ)は何に替えるのがおすすめ?
医療用PHS(ピッチ)を替える場合、インカムやトランシーバーなどの代替候補が浮かぶことでしょう。
ただ、こうした備品を使う場合
- 通信範囲が限られており、広範囲での使用には不向き
- 多くの人と同時に通話することが困難
- 環境ノイズの影響を受けやすく、PHSやIP電話に比べて音声品質が低下する
- PHSと同じく通信が暗号化されていない場合が多いため、第三者による傍受のリスクが高い
- 個々のデバイスの管理や、故障時の修理・交換がPHSシステムに比べて煩雑
といったデメリットがあり、たとえ替えたとしても新たな業務上の不都合が生じてしまう場合もあります。
インカムやトランシーバーに替えても上手くいかなそうで困る。
そうした場合は、PHSの代わりに拡張性も高くスマホを内線端末として利用出来る『クラウド電話モッテル』を利用してみるのはいかがでしょうか?
■医療用PHS(ピッチ)はクラウドPBX「MOT/TEL」でIP化が可能
最近では、医療用PHS(ピッチ)に加え構内放送・社内放送をIP電話にして、スマホ・SIP電話機から連絡・放送が可能になる機器も提供されています。
例えば、クラウドPBX「MOT/TEL(モッテル)」を利用することで、道路を挟んだ向かいの事務所にて仕事をする場合や外出時などであっても、社用でなく「私用」のスマートフォンを使って、従業員同士の通話・連絡が可能となります。
また、ナースコールとの連携も可能なため、医療用PHS(ピッチ)でのコミュニケーションから圧倒的に作業効率を向上させることが可能になります。
■クラウドPBX「MOT/TEL」とは
クラウドPBXとは、従来オフィスに設置していた主装置(PBX)をクラウド上に設置し、インターネット経由で電話機能を利用するサービスのことです。スマホから会社番号での発着信が可能なほか、オフィス以外の場所で電話業務を行ったり、遠隔拠点の社員同士で内線通話を行ったりすることが可能です。
クラウドPBX「MOT/TEL」は、ITトレンドのPBXカテゴリで「全体満足度星5最高評価」を獲得しているクラウドPBXです。日本国内開発であることに加え、使いやすさ・音声品質・通話の安定性などが評価され、27,000社以上の累計導入実績を誇ります。
医療用PHS(ピッチ)をクラウドPBXで出来るようにするメリットはそれぞれ以下の通りです。
- PHS端末・PBXなど電話機器・サーバーの設置・維持が不要になる
- 社員の私用のスマホを利用でき、社用スマホを導入する必要がない
- 新たに医療・看護職員を雇用した場合も、スマートフォンアプリの設定だけで使用できる
- 敷地外含むどんな場所からでも社内通信が可能
- 複数拠点化時など企業の成長に合わせて容易に拡張が可能
- データの暗号化・定期的なセキュリティ更新・災害時のバックアップができるなど、高度なセキュリティ対策も可能
- 社内SNS・ボイスメール・着信転送などで従業員のコミュニケーション関係での生産性向上にも貢献
■導入事例: 構内PHSから移行した総合病院
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導入後の効果 |
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医療用PHS(ピッチ)の替わりに、クラウドPBX「MOT/TEL(モッテル)」を導入された総合病院では、スマホにすることにより院内サーバにアクセスできるようになった他、電子カルテの確認も可能になりました。
かつてはカルテを確認するためにはPCのところへ行く必要がありましたが、導入後は病室で患者のそばにいながらカルテを参照することができるようになり効率が良くなりました。また、常に更新される情報もリアルタイムでスマートフォンで確認することができます。
このように、構内放送とスマホで内線を使えるクラウドPBXを組み合わせると、医療用PHS(ピッチ)などの古い通信のやり方から脱して、より効率的かつ顧客満足度や働きやすい職場づくりにもつなげられます。
詳しくは以下のリンク・ボタンから詳細についてみてみたり、資料請求をしてみるとよいでしょう。
4.まとめ
- 25年以上前に発売されたPHSは医療・介護などの業界では連絡手段として長年使われてきており、「医療用ピッチ」とも呼ばれている。
- キャリアのサービス終了や旧スプリアス規格機器への規制などリスクが多いながらも、いまだに約4割の医療機関でPHSは使われている
- 利用できる機能が電話のみであったり、セキュリティが弱かったりすることもあり、「クラウドPBX」など最新の機器への移行が昨今の医療業界では求められつつある。
- 「クラウドPBX」とは、内線の主装置(PBX)をクラウド上に設置しネット経由でIP電話/内線機能を利用できるサービス。
- 総合病院ではPHSから入れ替えたことで、ナースコールや医療用カルテのデータベースとの連携も可能となり大幅な作業効率向上が実現できた。
独立行政法人情報処理推進機構が2023年の3月に出した「DX白書2023」によれば、「医療、福祉」産業でDX・ICT化を「実施している」と答えた企業・組織はおよそ9%しかなく、他の産業と比べても極めて低い数値となっています。
20年以上前の機器のPHS(ピッチ)の利用が多い、医療機関。
世間では携帯・スマホへと移り変わりながらも未だにPHSが「約4割」も使われているという現状は、まさに「DX化」が進まない状況を表しているといっても過言ではないでしょう。
「DX化をしっかり進めて業務効率化を進めたい。」と考えるなら、まず「医療用PHS(ピッチ)をクラウドPBXに替える」ことを検討するのが一番いいでしょう。
というのも、PHSから設備を替えることは医療機関でも一番取り組みやすいDX化への動きだからです。
ちなみに「クラウドPBX」では「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」などの補助金の対象にもなっています。
おすすめするサービスがクラウド電話『モッテル』です。モッテルでは、先ほど挙げた総合病院への導入実績などが多数あるほか、補助金・助成金などへの相談も可能です。
詳しくは以下のリンクやボタンから、詳細を見てみたり、補助金・助成金についての相談をしてみるといいでしょう。
参考:
IT Media News「Y!mobileのPHSが“幕引き”へ 2023年3月末で「PHSテレメタリングプラン」を終了」
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