Q: 勤務形態の柔軟化とは?~勤務形態の柔軟化は人材確保の必須項目の時代へ~
生産年齢人口(学卒から64歳までの人口)の減少に伴い日本社会は人手不足・人材不足に陥ってしまった。人手不足・人材不足の対策案として勤務形態の柔軟化が挙げられる。そこで今回は勤務形態の柔軟化とは何か?実現に必要なコトなどをご紹介していく。
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- コンテンツの目次
1.日本雇用の現状
1.日本雇用の現状
日本の雇用は終身雇用前提で構築されてきた。その為正社員の待遇が良く非正規雇用者は低賃金での労働となっている。正規雇用と非正規雇用の詳細は次項で見て行くことにする。まずは終身雇用が崩れたといわれる原因を見て行く。
1つ目が生産年齢人口(学卒から64歳までの人口)の減少。下記の図を見ると明らかなように生産年齢人口は減少し続けることが予想される。そのため、終身雇用制度を支えていた若い労働力が供給されなくなり破綻したと言える。
2つ目がバブルの崩壊。元々終身雇用制度は年功序列式に勤続すればするほど給与が上がる勤務体系となっているが、この制度の根底には成長し続ける経済・企業という前提があった。成長し続ければ若年層(低賃金で働く層)を採用し続けられるため、能力が高くない管理職分の給与もまかなえたのである。しかし、この成長神話のような幻想は消え、低成長な市場へと変化した時に企業の年齢別分布はピラミッド型から樽型のような形になり能力に見合わない管理職の高給を支払うことが出来なくなってしまったことが影響する。
3つ目は技術革新。終身雇用・年功序列はある種、勤続年数が長ければそれだけ経験・知識が増えるため生産性が高い・能力が高いという前提で成り立っている。しかし、技術革新の進む現代ではひと昔前の業務の仕方は全く参考にならない。そのため、無能な管理職というような存在が大企業を中心に発生してしまったのである。
終身雇用・年功序列は崩壊するべくして崩壊したのである。
2.日本雇用形態の現状
2.日本雇用形態の現状
次に日本雇用形態の現状を見て行く。下記のグラフは厚生労働省「非正規雇用の現状と課題」の正規雇用と非正規雇用労働者の推移である。
参照:厚生労働省「非正規雇用の現状と課題」
日本式の終身雇用が崩壊したとは言え正規雇用はほぼ横ばいで推移しているのに対し、非正規雇用は年々増加傾向にある。割合としても40%近くまで増加しているので近い将来労働者の半数は非正規雇用という時代が来ることは間違いないであろう。これは人手不足や人材不足を補うためにシニア層・主婦層などを採用する流れから来ている面と人件費の高騰を抑えるために正社員で採用ではなく非正規の採用が増えている面の2つの理由がある。
下記の図はその非正規雇用者の年齢別グラフだが、65歳以上のシニア層の比率が増加しているのがわかる。
参照:厚生労働省「非正規雇用の現状と課題」
3.労働参加率を増加させる
3.労働参加率を増加させる
終身雇用制度が崩壊し生産年齢人口の減少による人手不足となれば企業の存続は非常に危ない。その為、まずは労働力の確保が必要になる。労働参加率という生産年齢人口のうち病気や服役中などの働けない人を除いた総数に対して労働をする意思表示をしている割合を示すものだが、この労働参加率を高める必要があるだろう。
労働参加率を上げるために必要なコトが本記事のタイトルでもある勤務体系の柔軟化である。類語には雇用の柔軟化があり、近い言葉に雇用の流動化がある。
勤務体系の柔軟化・雇用の柔軟化とは終身雇用における一般的な週5日朝事務所に出社し夜帰宅するという働き方以外の採用を意味する。今流行の言葉で言い換えれば「働き方改革」にあたるだろう。具体例をあげれば在宅勤務・テレワーク・時短勤務・リモートワークなどが挙げられるが、いずれも働きたいのに今までの労働条件が厳しいために働けなった人を採用できるような制度である。在宅勤務やテレワークであれば、通勤が出来ない人でも働くことが出来る。仕事にもよるだろうが、東京本社の仕事を北海道や沖縄で行うことも出来る。
時短勤務はシニア層や子育て中の主婦層の参加率向上に効果があるだろう。
ここで下記の図を見て頂きたい。2016年までの5年間のテレワーク導入企業の割合を示したグラフだが、上下を繰り返し、20%を超えたことはない。
出典:総務省ホームページ
人材確保のカギは「お金よりも働きやすさ」と言われるほど労働環境・勤務体系の柔軟化は効果的であり、他の企業がやっていない今だからこそより効果が実感できるかもしれない。
4.柔軟化に必要なコト
4.柔軟化に必要なコト
労働の柔軟化には様々な方面からの整備が必要になる。法整備という観点からまずご紹介すると、例えば女性の場合、出産・育児の為に離職するケースが非常に多く、一番割合の高い離職理由となっている。これは出産・育児の負担が主に女性側に重い比率になっているからであるが、この比率の原因は日本男性の育休を取らない習慣・環境が影響している。厚生労働省が発表した2016年の男性の育児休業取得率は3.16%で過去最高であったとしている。3.16%という低い数字に驚きもあるが、この数値が過去最高というのもまた驚きである。スウェーデンやノルウェーが育児休暇取得率の高い国として挙げられが、その理由として夫婦それぞれに育休期間が決められている制度「パパ・クオータ制度」「パパ・ママ・クオータ制度」が挙げられる。
「パパ・クオータ制度」「パパ・ママ・クオータ制度」とは男性にのみ認められた育休期間を設定する制度である。初めて実施されたノルウェーでは男女合計で42週間の育休期間があるがそのうち4週間は男性のみしか取得できない仕組みで男性が取得しなければその分の期間は差し引かれる。この仕組みのおかげで男性の育児休暇取得率は5%から80%と一気に上昇した。このようにある程度無理にでも取得させるような制度へ法制度を変更しなければ現状の風潮や男性は育児休暇を取得しないのが当たり前という価値観は変えられない。
その他労働環境という観点からみると先にご紹介したテレワークはテレワークに即したシステム導入なくして成功はあり得ない。事務所と同じ環境あるいは共有できる環境を構築しなければ仕事の幅は限りなく狭くなる。その為テレワークを行うためにはリモートアクセスなどのシステムは高い割合で必要になる。また同じ空間にいるわけではないので非常にコミュニケーションが取りにくくなる。そこでコミュニケーションを簡単に取れるようにかつセキュリティを考慮しビジネスチャットを導入したり、内・外線を可能にする電話システムなどはテレワークの成功に有効だろう。
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また、短時間労働では多数の人が入れ替わり労働することになるため一元的に管理できる勤怠管理システムや工程管理も必要になり、勤務形態の柔軟化のハードルは低くはない。が、そんな悠長なことは言えない時代がすぐそこに来ているのは間違いだろう。
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