Q: 企業の技術力強化のポイント~技術者の争奪戦に勝つために~
製造業や様々なサービスのメーカーは日本国内の消費の低下に伴い世界規模での事業発展を継続的に行っていかなければ企業は衰退していくだろう。衰退を防ぐためには技術力を高めて国際的な競争力を高めていく必要がある。そこで今回は技術力の強化の方法等について詳しくご紹介していく。
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1.技術力とは?
1.技術力とは?
まず今回の記事の基礎的な情報の統一化を図りたい。技術力と言ってもイメージするものは人それぞれで違うが、一般的に技術力とは個人の知識(感覚)や応用力、新しいものを開発する力の様な物を挿す。日本の中小企業は技術力が高い、熟練の職人しか作れないというような表現をするときの技術力とは知識・感覚が豊富・研ぎ澄まされているようなときにしばしば使用される。
この個人の技術力に対し企業の技術力とは企業としての知識・ノウハウや応用力といった個人の技術力と似ている部分と納期や品質といった項目をクリアできる水準の高さの事を挿す場合もある。この場合、個人の技術力と言うより製造ライン等の機械的な製造力に意味が近い。
ITサービスのメーカーなどは個人・企業どちらの技術力も知識や応用力、技術を使った企画力などが挙げられる。企業も技術者の単なる集合体であると考えられる。
2.日本の技術力は高いのか?
2.日本の技術力は高いのか?
「技術で勝っても事業で負ける」という表現をよく耳にすると思うが、「技術力は高いがその技術を生かした市場形成が下手である」という認識が日本人に共通してあるように思える。このように一般的には日本は技術力が高いとされ、現状では私もその認識に近い。が、今後何十年という期間の中で逆転現象は必ず起きてくる。その理由として技術者の外資系企業への流出が止まらないことから技術者のみならず日本の技術自体が流出していること。日本の高い技術が流出し続ければ技術力の逆転現象は必ず起きる。
3.なぜ日本の技術者は外資系企業へ流出してしまうのか?
3.なぜ日本の技術者は外資系企業へ流出してしまうのか?
日本の一番脂ののった優秀な30代の技術者が多く転職しているという。ではなぜ日本の大企業などから外資系企業へ流出してしまうのか?
まず挙げられるのが給与。
求職・転職サイトのhired.comでは2016年における世界各都市のITエンジニアの給与を紹介している。
北アメリカのITエンジニア給与ランキング参照:https://www.sin-kaisha.jp/
順位 都市 給与 1 サンフランシス・ベイエリア 13.4万ドル(約1,522万円) 2 シアトル 12.6万ドル(約1,432万円) 3 ニューヨーク 12.0万ドル(約1,364万円) 4 ロサンゼルス 11.7万ドル(約1,329万円) 5 ボストン 11.6万ドル(約1,315万円) 6 サンディエゴ 11.2万ドル(約1,270万円) 7 デンバー 11.2万ドル(約1,270万円) 8 ワシントン 11.1万ドル(約1,259万円) 9 オースティン 11.0万ドル(約1,247万円) 10 シカゴ 10.8万ドル(約1,225万円)
それに比べ2015年度の日本のシステムエンジニアの平均年収は591万円となっている。
参照:https://nensyu-labo.com/syokugyou_programer.htm
アメリカの各都市と比較しても半額以下という結果になっている。給与の差がこれ程広がっていれば転職する人が増えても仕方ない。
また、技術者に冷遇と言える環境面も流出する理由として挙げられる。「青色LED訴訟」と呼ばれる青色LED発明した中村修二氏の訴訟を例に挙げると、世界的に大発明と言える青色のLEDを発明し、特許を取得した日亜化学工業は莫大な利益を上げたものの社員である中村修二氏が受け取ったのは2万円の報奨金だけだった。結局8億4391万の和解金を受け取ったが、訴訟当時200億円を要求していたことを考えると企業側の勝利と言えよう。
このように日本企業に所属する技術者は功績に対しての報酬が極端に少ないことも海外の企業へ流出する理由だろう。
4.企業の技術力を上げる方法
4.企業の技術力を上げる方法
技術力を上げる方法はいくつか存在する。先程ご紹介した技術者の流出を防ぐことも有効な手段であろう。流出を防ぐためには給与を外資系企業・海外の企業と同水準にすることは勿論、給与以外の面でも改善していかなければならない。
例えば海外企業へヘッドハンティングされて転職した場合、その人の技術やスキル・経験が評価され企業へ招かれるので、大きな権限と責任がある仕事を任される。この大変だがやりがいのある仕事が日本の企業に雇われていたらなかなか出来ない。日本の企業では個人としてではなくチームとして動く。その為、効率的なやり方を模索し実行することよりも今までの慣例に従い、従来通りに行うことで問題を起こさない方が評価される。優秀な技術者程どんどんスキルを向上させやり方を変化させたいにもかかわらず、不効率なやり方で同じ仕事をさせられるのでモチベーションは当然下がる。モチベーションを上げるためにはある程度の裁量・権限・責任を与えなければならないので、それぞれにいい意味で仕事を丸投げする必要がある。
環境面で言えばリモートワーク。私は仕事に対するストレスより通勤のストレスのほうが高い。満員電車に押しつぶされ、始業時間に間に合うように朝早く起きてと朝に一番ストレスがかかる。このような人は少なくないのではないだろうか。
企業が多く集まる東京都へベットタウンから出勤する人たちの通勤時間が一番長く、神奈川県で50分、千葉県48分、埼玉県で47分ほどかかっている。平均時間が38分程なので10分以上長い県もあった。通勤時間が長ければ睡眠時間は当然減る。睡眠時間は個人の業務への集中力ややる気に影響するため、通勤時間が長ければ長いだけ非効率になる。このような環境にリモートワークなどが取り入れられ、改善されていればその企業で働く意欲も向上するに違いない。
リモートワークは事務所外の自宅やカフェなどで働く働き方であるが、実現に向けては様々なハードルが存在する。ある記事によると事務所に出勤する働き方とリモートワークの働き方で違うのは「コミュニケーションの取り方だけである」という記載がある。これには私も同意見だ。ネットワークを介して情報の共有は容易になり、事務所でしか出来ない仕事は非常に少なくなってきている。違うのは会って会話をするのか、チャット等のツールを使って会話をするのかという点でしかない。したがってその点を改善すればリモートワークの導入が可能で技術者の離職に有効な環境を整えることが出来るというわけだ。今はビジネス向けのチャットが多数提供されているので、自社に合ったチャットツールを導入しても良い。
また、チャットツールだけでなくビジネス向けの電話アプリとチャットを組み合わせたサービスも出てきている。チャットはメールより手軽に迅速にコミュニケーションが取れるツールであるが、多量の情報を伝える際には少し面倒である。そこでチャットに加えて社員同士や事務所との連絡で内線電話(無料電話)が行えるツールも付随していれば簡単な質問はチャット、少し長くなりそうな質問なら電話、公的に残しておきたいならメールなどの使い分けも可能である。
さらに、リモートワーク中でも会社の番号を利用しお客様へ発信や事務所と電話の取次ぎなども可能になり、リモートワークのデメリットであるコミュニケーションが取りにくいという点は解消される。このように適切なサービスの導入により環境を変化させることは技術者の流出を防ぎ、技術者自身のモチベーションの向上、最終的には企業の技術力の向上へと繋がっていく。
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