クラウドPBXのデメリットと回避方法をわかりやすく解説
最終更新日:2023年12月25日
ビジネスフォンに代わる法人電話サービスとして注目されているクラウドPBX。2010年代に登場したクラウドPBXは登場当初から徐々に導入企業が増え、ここ最近ではコロナ禍もあり特に導入が増えています。そんなクラウドPBXですが、従来のビジネスフォンの単なるリプレイスとは違い大きくシステムが変わるのでデメリットやリスクなどを知りたいという方も多いでしょう。
そこで本記事ではクラウドPBXのデメリットと対策・回避方法をご紹介致します。
1.クラウドPBXとは?
従来の法人電話であるビジネスフォンはPBX(主装置)と固定電話を社内など利用する場所へ設置していました。
クラウドPBXでは、PBX(主装置)を社内ではなくクラウド上に展開されているものをスマホやパソコンなどの端末からインターネットを通じて接続し、各機能を利用します。
クラウドPBXでは、PBXを社内へ設置せずに利用できるので初期投資を抑えた導入が可能です。また、インターネットが使える場所であれば日本全国で会社番号を使った発着信がスマホなどで可能と言ったメリットがあります。
2.クラウドPBXのデメリット
クラウドPBXは様々な導入メリットがありますが、デメリットもありますのでご紹介致します。
- 【クラウドPBXのデメリット】
- デメリット1:毎月費用が発生する
- デメリット2:発信できない番号がある
- デメリット3:品質がインターネット環境に左右される
- デメリット4:提供会社によって品質にばらつきがある
- デメリット5:導入時に電話番号が変わる可能性がある
- デメリット6:セキュリティリスクがある
デメリット1:毎月費用が発生する
クラウドPBXはその名の通り、クラウドタイプのサービスです。クラウドサービスはサブスクリプション(サブスク型)のサービスなので利用する月は毎月使用料の支払いが必要です。内線1つあたり1,500円~2,500円前後が相場になります。
今までのビジネスフォンは一括で購入して利用することができましたがクラウドPBXはできません。
デメリット2:発信できない番号がある
クラウドPBXは主に050などの番号を利用するIP電話タイプと03や06と言った市外局番を利用する光電話タイプに分かれます。どちらもインターネット回線を利用した電話なのですが、前者のIP電話を使用したクラウドPBXは110などの緊急ダイヤルが利用できません。利用できない緊急ダイヤルは下記の通りです。
- 【クラウドPBXで発信できない緊急ダイヤル】
- 110:警察への緊急通報
- 119:消防・救急への緊急通報
- 118:海上事件・事故の緊急通報
- 177:天気予報
- 117:時報
- 115:電報の申し込み
- 113:設定・トラブルサポート
- 144:迷惑電話お断り
- 0570:ナビダイヤル など
市外局番を利用する光電話でも、緊急通報(110,118,119)を扱う際には下記の機能を持つことを義務付けされました。
・管轄の緊急通報受理機関(警察、海上保安庁、消防)へ接続する機能
・発信者の位置情報等を通知する機能
・回線を保留または呼び返し等を行う機能
参照:総務省「緊急通報の機能」
その為、スマホやPCで利用するアプリからの緊急通報の利用ができなくなっています。
社員1人1人がスマホを持つ時代ですので、それほどデメリットにならないかもしれませんが利用する場合は社員へ周知しておく必要があります。また、コールセンターなどスマホの持ち込みを禁止している場所では緊急通報が必要な場合の対策が必要になります。
デメリット3:品質がインターネット環境に左右される
クラウドPBXはIP電話タイプ・光電話タイプどちらもインターネットを通じて各機能を利用します。その為、品質がインターネット環境に左右されてしまいます。例えば通信の安定する社内や自宅などでは安定した通話が可能ですが、地下鉄や高層階・トンネル内など通常の電話も悪くなるような場所ではクラウドPBXの品質も同様に下がってしまいます。
デメリット4:提供会社によって品質にばらつきがある
クラウドPBXは各提供会社が開発したアプリをスマホやパソコンへインストールして利用します。その為、各アプリによって音質・通話品質に差があります。万が一音質の悪いクラウドPBXを導入してしまった場合、「ノイズが入る」「声が聞こえにく」「遅延する」「ハウリングしてしまう」「音声が途切れる」と言ったトラブルが発生しやすくなります。
デメリット5:導入時に電話番号が変わる可能性がある
一般的に会社の電話番号は事務所のある地域の市外局番を使用しています。050などの番号を利用するIP電話タイプのクラウドPBXは既存で利用している03や06と言った市外局番を継続して利用できません。IP電話タイプのクラウドPBXでは新規で050などの番号を取得して利用することになります。
デメリット6:セキュリティリスクがある
クラウドPBXだからと言うわけではありませんが、クラウドサービスを利用する以上セキュリティリスクが発生します。インターネットで繋がっている以上、乗っ取りやデータ流出などのリスクはゼロではありません。
また、クラウドPBXでは社員で共有する電話帳(WEB電話帳)が利用できますが、利用しているスマホの紛失や置き引きなどにより情報漏洩の可能性もあります。
3.クラウドPBXのデメリットを回避する方法
先ほどご紹介した各デメリットは導入するサービスによって回避することが可能です。各デメリットの対策について見ていきましょう。
毎月費用が発生する→自社に合った料金体系のサービスを探す
クラウドPBXがサブスク型のサービスである以上、毎月費用が発生することは仕方ありません。しかし、サービス料金は各提供会社により異なります。
例えば、1ID 〇〇円の様に1ID(内線)毎の料金体系や20内線まで 〇〇円の様に特定の台数まで定額の料金体系もあります。1IDだけを使う場合は1ID毎の方がもちろん安くなりますが、5内線以上などの場合多くは定額の料金プランの方が1内線あたりに換算した料金が安くなります。導入する際は、複数のサービスを比較検討することで自社に最適なサービスを見つけることができます。
発信できない番号がある→光電話を利用したクラウドPBXを選ぶ
緊急ダイヤルへ発信できないのはIP電話を利用したクラウドPBXです。今までと同じように緊急ダイヤルへ発信したい場合は光電話を利用したタイプのクラウドPBXを選択することで回避できます。
アプリからの発信はひかり電話を利用したクラウドPBXでも利用不可なので、置き型のIP電話を設置したり個人所有のスマホから発信するよう周知することで対策可能です。
品質がインターネット環境に左右される→インターネット環境を整える
どのクラウドPBXでもユーザーが利用するインターネット回線が劣悪な場合、通話品質は悪くなります。頻繁に利用する社内などのインターネット環境をクラウドPBX導入時に一緒に見直しておくと安定した通話が可能です。
また、Wi-Fiなどを使うスマホよりLANケーブルで接続する固定IP電話やソフトフォン(パソコン電話)の方が安定度は高いので利用端末はソフトフォンを多く使うなど工夫することで回避することができます。
提供会社によって品質にばらつきがある→デモンストレーションなどを行う
音質や通話品質・使い勝手は提供会社によって様々です。品質の悪い・使い勝手の悪いサービスを避ける方法は導入前にデモンストレーションなどで利用してみることが一番です。複数のサービスを実際にデモンストレーションなどで利用してみると音質の違いやアプリ画面の使いやすさなどがわかるので質の悪いサービスを避けることが可能です。
導入時に電話番号が変わる可能性がある→光電話を利用したクラウドPBXを選ぶ
クラウドPBXの中でIP電話を利用したタイプは電話番号が変わってしまいます。既存の市外局番を継続利用したい場合は光電話を利用するタイプのクラウドPBXを選択することで回避できます。ただし既存で利用している回線によっては引き継ぎできない場合もあるので気になるサービスがあれば問い合わせてみましょう。
セキュリティリスクがある→定期的なパスワード変更
クラウド上にあるサーバなどのセキュリティは提供会社に依存します。気になる方は導入前にセキュリティ対策について聞いてみましょう。
また、乗っ取りなどの被害にあわない為には定期的なパスワードの変更をお勧めします。端末からの情報漏洩については、社員へセキュリティ意識向上の為に勉強会を開催したり社内規則の規定なども有効です。
端末側の情報はクラウド側で削除(アカウントの紐づけを停止)することで閲覧できなくなるサービスもあるので検討の際に確認してみてください。
4.デメリットの少ないクラウドPBX「モッテル」
株式会社バルテックが提供するクラウドPBX「モッテル」は050番号のIP電話プランと既存の会社番号を継続利用できる光電話プランの両方を提供しています。その為、「緊急ダイヤルへの発信」や「既存の会社番号を継続利用」などお客様のニーズに合わせてプランを選択できるデメリットの少ないクラウドPBXです。
また、長年置き型の電話機(PBX)を開発・製造してきた経験とノウハウを活かして誕生したクラウドPBX「モッテル」は業界でもトップクラスの音質です。
5.まとめ
クラウドPBXは、場所を問わない電話環境の構築や初期投資を抑えた導入ができるなど様々なメリットがある一方で下記の様なデメリットがあります。
- 【クラウドPBXのデメリット】
- デメリット1:毎月費用が発生する
- デメリット2:発信できない番号がある
- デメリット3:品質がインターネット環境に左右される
- デメリット4:提供会社によって品質にばらつきがある
- デメリット5:導入時に電話番号が変わる可能性がある
- デメリット6:セキュリティリスクがある
クラウドPBXを導入する際はデメリットについてもしっかり理解しておく必要があります。また、上記の様なデメリットがない(少ない)タイプのクラウドPBXもありますので、導入の際は機能や価格に加えてデメリットもサービス毎に比較検討すると良いでしょう。
カテゴリ: クラウドPBXの基礎知識